Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme
多計代も、伸子がさっき涙をふきにここへ来たように、きもちをしずめるために洗面所に入って来たにちがいなかった。
鏡に向って上目で前髪の毛すじをととのえながら、多計代はいくらか弁解のように、
「お父様ったら、愚弄したとか何とかって――おっしゃることがどうしていつもああ極端なんだろう。――こないだ越智さんが一緒に夕飯をたべて、あとでいろんな話が出たんだけれど、何しろお父様は、本をよまない方だしね、越智さんはああいう真面目な人だし、すっかり話がちぐはぐになっちまって、お父様はさんざんだったのさ、それだけのことだのに……」
「またシュタイン夫人のことでもいったんじゃないの?」
「…………」
ほんのにくまれぐちと自分で知っていったことに、多計代は答えない。伸子は愕然とした気持で、母の顔を見た。多計代は白くふっくりとしたきれいな顎をひきつけて、衿もとにかかった白粉を軽く指さきではらっている。越智に対してつかみかかるような激しい言葉がほとばしりかけたのを、伸子はやっと自制した。伸子はそこに、はっきりと、父と母とそして自分にも加えられた屈辱を感じたのであった。父親似の丸い伸子の顔に悲しみが現われた。