Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme

Aozora Bunko

と云った。

「三浦環なんかにたいして、どういうものか日本人は冷淡だ、悪口をいう奴さえある。あなたも広いところをみて、しっかり面白い小説をかいて下さい」

いつか伸子に反物をおくってくれた老母は、じき喜の字の祝いで別荘に暮している。そんな話もあって、泰造と伸子とは四五十分で藤堂駿平の邸を出た。

「どうもありがとうございました」

自動車が麻布の通りをいい加減進んだとき、伸子は父に改めて礼をいった。

「ほんとに一安心したわ。――でもなんて、簡単なんでしょう」

「なにが?」

「いろんなことが――ああいう人たちって、あんなになんでも簡単にいくのかしら……」

「まあ、簡単にゆくところがあるだけ、一方でたいしたところもあるだろうさ」

「――お嬢さん、お嬢さんていうんだもの」

伸子は苦笑した。しかし泰造は案外真面目で、

「だってお前はミス佐々じゃありませんか」

と云った。

「それゃそうだけれど……」

お嬢さんとよばれることに、伸子はミスという意味よりもっとちがった内容を感じるのであった。面白い小説をかいてくれ、といわれることにも、返答にこまる心持がした。藤堂駿平が、在来の政治家と非常にちがった自由な寛濶な雰囲気をもっていることは伸子にもわかった。