Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme
ぐるりが畑の真中に、突然畑でない地面が四角く開いて、その垣根も何もないところにかなり大きい一棟の温室と、すこし離れて住居が建っていた。竹村は道を歩いて来たその足どりで住居のガラス窓へよって行き、白いカーテンのしまったところを一寸のぞいてみてから、おくれて来た素子と伸子を温室の入口で待った。
「さきに温室を見て貰おう、ね」
ズボンのポケットから鍵を出して、竹村は温室の戸をあけた。素子が入り、伸子も内部へ踏みこんで、思わず、
「まあ!」
声をあげた。一日じゅう日光の最後のぬくもりまで利用するように建てられている温室は、その時刻に丁度真向うから西日をうけていた。ガラスのまぶしい反射のために外からは見えなかったカーネーションの花の赤、白、ピンク、淡いクリームの色々が、入ってみれば温室いっぱいに咲き乱れている。しめりけのある温い空気は、粉っぽいカーネーションの薫りで満ち、近よって眺めると、見事な花冠をつけた茎のほそくつよく節だった緑の美しさ、やわらかな弾力にあふれてはね巻いている細葉の白っぽいような青さ。外気の荒さに痛められず、伸びて、繁って繚乱と咲いているカーネーションの花弁は美しくて、伸子はそこをかきわけるように入って行った人間たちの衣服の繊維のあらいこわさを、花々にふさわしくないものにさえ感じた。