Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
Lesen Sie 二つの庭 (ふたつのにわ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.492 Zeichen · 389 Bildschirme
おとといは、薫りの雲がみちみちているように感じられた温室の内部が、きょうは花のつくられている温室、という現実的な手堅い感じで支配された。
保は、
「シクラメンはおやりになりませんか」
ときいた。
「今年はやりません。鉢ものですしね」
「ああ、そうね」
そういう問答の内容は伸子にわからなかった。
わからないことだらけの竹村と保の話を、伸子はむしろ満足してききながら、長いこと温室にいた。保が辞退するので、住居の方へはよらないで、帰途についた。
平静な保の表情から、伸子は、温室を見たことがうれしかったのか、それほどでもなかったのか、よくわからなかった。
「保さん」川ぶちの道を歩きながら、伸子がきいた。「どうだった? あんなの平凡?」
「僕、よく出来ていると思う。――でも、あれだけつくるのは、割合やさしいよ」
保は、先頃、父につれられて大磯のある富豪の温室を見て来た話をした。そこでは主としてメロンと蘭などがつくられていた。
「姉さん、メロンておもしろいよ、むずかしいけれど。僕だったらメロンやる」
円天井の大温室の中で、網に吊られた大小のメロンが、熟す順に番号をつけられて青く美しくみのっていた光景を、保は活溌に話してきかせた。