Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたりのもうじん
二人の盲人
平林 初之輔
Lesen Sie 二人の盲人 (ふたりのもうじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.366 Zeichen · 13 Bildschirme
「どうぞ、冷めないうちに召し上がって下さいまし」
藤木は、手さぐりで茶碗をうけとった。
「貴方はいかが?」
「コーヒーは、咳によくないから、わしはお冷水を貰おう」
「そうでしたわね、せっかく三つこしらえたんですけれど、それじゃそうなさいまし」
二人の、コーヒーを啜る音を聞きながら、玄石は、邪悪な満足の微笑を浮かべた。
藤木と、千鶴子とは、いろんなことをつぎからつぎへと話していた。玄石は気管支の苦痛を、長火鉢によりかかって耐えているようだったが彼の心の中は、麻のように乱れていた。二人が親しそうに話を交わしているのを見ると、また新たに、憎悪の炎が燃え上がった。彼は、自分の今やった残忍な行為を、少しも後悔していなかった。それどころか、妙な嬉しさが、ぞくぞくと胸にこみ上げてくるのだった。
彼は、モルヒネの効果を発揮する時間を、正確に知っていた。毒の作用が、全身に回りはじめた頃を見はからって、彼は、二人の方をふり向いた。
「藤木君、それから千鶴子、わしは何もかもちゃんと知っていたんだよ、はじめから知っていたんだ。ただ言わなかっただけなんだ。わしは、こんな見苦しいことを生きた人に聞かれたくはない。