Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたりのもうじん

二人の盲人

平林 初之輔

Lesen Sie 二人の盲人 (ふたりのもうじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.366 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

眼が見えないために、心がひがんだのだと、思われたくなかったからだ。だが、何にも言わないということは、ますます彼の猜疑心を尖らした。暗の中に、怪しい幻覚が、つぎからつぎへと果てしなく起こって、彼を責めさいなんだ。幻覚はだんだんと現実性を帯びてきた。彼の嫉妬は、彼の家へしげしげ出入りする藤木に集中された。

一体、藤木はなぜこんなにしょっちゅう家へ来るんだろう? 彼は俺の親友だからじゃないか、だが、俺の方では彼の家へめったに行ったことはないのに、彼の方からばかりどうしてやってくるんだろう? 俺は家を持っているのに、彼は下宿住まいの独身者だからじゃないか、独身者――この言葉に彼は慄え上がった。

彼はいつでも平気な顔をしていた。すくなくも平気な顔をしていようとつとめていた。心の中では、居ても立ってもいられない思いをしていても、顔ではげらげら笑っていることもあった。

千鶴子は、どんな眼をして藤木を見ているんだろう? 俺が何にも知らないと思って、舌を出しておりはしないだろうか? 千鶴子の指は、藤木の指にさわっていはしないだろうか? 彼女の腕は、彼の首に巻きついていはしないだろうか? そして――