Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しつらくえんさつじんじけん

二十世紀鉄仮面

小栗 虫太郎

Lesen Sie 二十世紀鉄仮面 (しつらくえんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.489 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

また、煙硝が直接火を呼ばないためには、導火線の長さも考えなければなりません。そうすると、飛去来器使用の犯行が、すっかり行き詰まってしまうのですが、私は不図した思い付きで、復路が終ろうとする際に、もう一度、飛来する力を与えたらと思いました」

「なに、もう一度……」

真積博士は、驚いたように顔を挙げたが、その眼を法水は、冷やかに弾き返して、

「つまり、折り返した時の大きな弧線の中途で、反対の方向へ、もう一度弾き飛ばす動力に思い当ったからです。その力が、煙硝の燃焼でした。そうなると、今度は基点が変って、博士と同じ棟にある、河竹の室になるのですが、まず飛去来器を、対岸の杏丸氏の実験室に飛び込ませるとその折返した大きな弧線が、兼常博士の室に入ります。その時、煙硝が燃えたのですから、膜嚢を排出した時の排気の反動で、恰度ロケットのような現象が現われたのです。ですから、その新しい力を与えられた飛去来器は、再び来た線を逆行して、もとの杏丸氏の実験室の中へ飛び込んでしまったのですよ」

そうなってみると、一体犯人が誰なのやら、とんと霧中を彷徨うの感じだった。現象的には、解決の近さを感ずるとは云え、肝心な一人の名――それが法水の口から、何時かな容易に洩れようとはしない。