Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
「大吉、つかれないかい。手に豆ができるかもしれんな」
「豆ができたって、すぐにかたまらァ ぼく、平気だ」
「ありがたいな。でも、明日からもっと早目に出かけようか」
「どうして?」
「先生の息子が、毎日ちこくじゃあ、なにがなんでもふがわるい。そのうちお母さんも、また自転車を手にいれる算段するけども」
「へっちゃらだあ。ちゃんと理由があると、叱られんもん。船で、おくったげる」
ゆっくりと、櫓についてからだを前後に動かしながら、得意の顔で笑った。
「うまいな、櫓押すの。やっぱり海べの子じゃな。いつのまにおぼえたん」
「ひとりで、おぼえるもん。六年生なら、だれじゃって押せる」
「そうかね。お母さんもおぼえよかな」
「そんなこと、ぼくがおくってあげる」
「そうそう、森岡正という子がいてな、一年生なのに、お母さんを舟でおくってあげるっていったことがあった。昔――。もう戦死したけんど」
「ふーん。教え子?」
「そう」
ふっと涙が出た。生きていれば、もうよい若者になったろうと、五年前、桟橋で別れたきりの正を思いだし、それが幼い日のおもかげとかさなって浮かんできた。あれきりついに会うことのなかった正。