Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

そういって並木といっしょに山へゆく。

「お母さん、配給は、ぼく、学校の帰りにとってくるから」

遠い配給所へゆくのも彼の役になった。並木もまけてはいられなかった。

「お母さん、水やこい、みんなぼくがくんであげる」

涙もろくなったお母さんは、

「きゅうにまあ、二人とも親孝行になったなあ」

これほどよわり、いたわられている彼女が、ふたたび教職にもどれたのは、かげに早苗の尽力があったのだ。早苗はいま、岬の本村の母校にいた。

「四十じゃあね。現職にいても老朽でやめてもらうところじゃないか」

首をかしげる校長へ、再三頼んで、ようやく、岬ならばということで話がきまった。しかもそれは大石先生のもっている教員としての資格でではなく、校長いちぞんで採決できる助教であった。臨時教師なのだ。かわりがあれば、いつやめさせられるかもしれないのだ。早苗は、気のどくさにしおれて、それを報告した。大石先生の目は、異様にかがやいたのである。

「岬なら、願ったり、かなったりよ。まえの借りがあるから」

条件の悪さなど気にもかけず、心の底からつきあげてくるような笑顔をした。そのとき大石先生の心には、忘れていた記憶が、いまひらく花のような新鮮さでよみがえっていたのだ。