Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

この瞳を、どうしてにごしてよいものか!

その日、ペタルをふんで八キロの道を一本松の村へと帰ってゆく大石先生のはつらつとした姿は、朝よりもいっそうおてんばらしく、村人の目にうつった。

「さよなら」

「さよなら」

「さよなら」

出あう人みんなにあいさつをしながら走ったが、返事をかえす人はすくなかった。時たまあっても、だまってうなずくだけである。そのはずで、村ではもう大石先生批判の声があがっていたのだ。

――みんなのあだ名まで帳面につけこんだそうな。

――西口屋のミイさんのことを、かわいらしいというたそうな。

――もう、はやのこめから、ひいきしよる。西口屋じゃ、なんぞ持っていってお上手したんかもしれん。

なんにも知らぬ大石先生は、小柄なからだをかろやかにのせて、村はずれの坂道にさしかかると、少し前こごみになって足に力をくわえ、このはりきった思いを一刻も早く母に語ろうと、ペタルをふみつづけた。歩けばたいして感じないほどのゆるやかな坂道は、往きにはこころよくすべりこんだのだが、そのこころよさが帰りには重い荷物となる。そんなことさえ、帰りでよかったとありがたがるほどすなおな気持であった。