Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme
井戸の屋根がふっとんで、見おぼえのトタン屋根のあたりが空白になり、そのあたりの空に白い雲がとんでいた。走りまわっていたらしいうしろはちまきの男先生が、いつもに似合わずあいそのよい顔で、
「やあ、おなご先生、どうです。ゆうべは、だいぶあばれましたな」
たすきがけの奥さんも出てきて、頭の手ぬぐいをぬぎながら久しぶりのあいさつをし、
「一本松が、折れましたな」
「え、ほんとですか」
先生はとびあがるほどおどろき、じぶんの村のほうに目をやった。一本松はいつものところにちゃんと立っているが、よくみると少しちがった姿をしている。たいした暴風でもなかったのに、年をへた老松は、枝をはったその幹の一部を風にうばわれたものらしい。それにしても、入り海をとりかこんだ村むらにとって、大昔から何かにつけて目じるしにされてきた名物の老松が難にあったのを、地元のじぶんが気づかずにいたのが恥ずかしかった。しかも今朝がたは、ごうまんにもいい気になって、一本松の下から人さし指一本で魔法の橋をかけ、波をしずめたのだ。村の時計を四十五分も進めさせることで、村中の人を大さわぎさせたのに、きてみればそれどころでない大さわぎなのだ。