Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
にかてんいんてんきゅうこうべっけん
二科展院展急行瞥見
寺田 寅彦
Lesen Sie 二科展院展急行瞥見 (にかてんいんてんきゅうこうべっけん) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.042 Zeichen · 8 Bildschirme
近頃の絵は概して「きたない」のが多い。九月二日に日比谷交叉点で、ひどい皮膚病に冒された犬を見た。犬は自分の汚さは自覚していないが、しかし癢いことは感ずるから後脚でしきりにぼりぼり首の周りを掻いていた。近頃のきたない絵もやはり自分のきたなさは感じないがその癢さを感じてぼりぼりブラシで引掻いたような痕が見える。
きたなく汚れて、それでいて実に美しいものも世の中にはある。ヴェニスの街のような者がそれである。綺麗できたないものは近頃の絵にはいくらでもあるのである。大家の絵にもそれがある。
いわゆるプロ絵なるものはどうしてああ鈍い色彩の間の抜けた構図ばかりしなければならないか了解が出来ない。文部省も内務省もこの点は意を安んじてもいいであろうと思われた。こういう絵を見ては誰でも資本主義を謳歌したくなる。
安井氏の「風吹く湖畔」を見ると日本の夏に特有な妙に仇白く空虚なしかし強烈な白光を想い出させられるが、しかしそういう点ではむしろ先年の「海岸風景」の方から一層強い印象を受けたような気がした。ともかくもこの日本の白い夏の光は絶望の悲哀といったようなものを含んでいる。