Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
その草原の中央の平石に腰をかけている若親分、等々力久蔵の前に、金モール服の薬売人に化けた生蕃小僧こと、石栗虎太が胡座をかいて、ポケットの中からピストルを突付け、等々力久蔵の妻君の不行跡を曝露し、嘗て、或る処で、自分が等々力の妻君から貰ったという紫水晶の簪を見せびらかしつつ、甘木柳仙宅襲撃の仕事を見逃がしてくれるように頼み込む。等々力久蔵は暫く考えてから承諾の証拠に、紫水晶の簪を受取り、生蕃小僧と別れる。それから生蕃小僧が立去って後に、妻と世話人を草原に呼んで来て、証拠の簪を突付け、厳そかに離別を申渡し、涙を払いながら決然として立去る。木立の蔭からその光景を窺っていた生蕃小僧が立出で、腕を組んだまま物凄い冷笑を浮かべて等々力久蔵の後姿を見送り、
「トテモ追出しゃあしめえと思ったが……この塩梅では愚図愚図しちゃいられねえぞ」
と独りでうなずきながら立去る場面であった。
続いて舞台がまわると甘木柳仙自宅の場で、等々力久蔵が柳仙夫婦から娘の三枝を借受け、それとなく三枝に左様ならを云わせ、思入れよろしくあって退場する。そのままの場面で日が暮れると生蕃小僧が忍び入り、柳仙夫婦を惨殺し、家中を探しまわって僅少の小遣銭を奪い、等々力久蔵に計られたかなと不平満々の捨科白を残して立去るところであった。