Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
「……で……そのお話というのは……」
「……もう古い事ですわ。明治二十年頃のお話ですからね。畿内の小さな大名植村駿河守という十五万石ばかりの殿様の御家老の家柄で、甘木丹後という人の末ッ子に甘木柳仙という画伯さんがありました」
「どこかで聞いた事があるようですな」
「ある筈よ。ホホ。柳遷とか柳川とか色々署名していたそうですが、その人が御維新後のその頃になって、スッカリ喰い詰めてしまって、東海道は見付の宿の等々力雷九郎という親分を頼って来て、町外れの閑静な処に一軒、家を建ててもらって隠棲しておりました。静岡、東京、名古屋、京阪地方にまでも絵を売りに行って相当有名になっておりましたが、その中でも古い錦絵の秘密画とか、無残絵とか、アブナ絵とかを複写するのが上手で、大正の八九年頃には相当のお金を貯めて、小さいながら数奇を凝らした屋敷に住むようになっていたそうです」
「それで思い出しました。僕はその絵を見た事があります。たしか四条派だったと思いますが……」
「ね。あるでしょう……その柳仙夫婦の間に、その頃三つか四つになる三枝という女の児がありました。父親が五十幾つかの老年になって出来た子供なのでトテモ可愛がって、ソラ虫封じ、ソラ御開運様といった風に色々の迷信の中に埋めるようにして育てたものだそうですが、それがアンマリ利き過ぎ