Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
モトモト久蔵親分は、好きで渡世人になった訳じゃないし、法律の一つも心得ているだけに、東京へ出て一旗上げたい上げたいと思いながら、因縁に引かれ引かれて足を洗いかねているところへ、最愛の女房から踏み付けにされちゃったのですからスッカリ気を腐らしたのでしょう。そうして生蕃小僧に別れると直ぐに久蔵親分は、甘木柳仙の処を尋ねて、すみませんがモウお雛様がお片付きのようですから、御宅のお嬢さんを又、暫く私に貸して頂けますまいか。久し振りに抱っこして寝たいですからと申込みました……久蔵親分は若い人に似合わない子供好きで、見付の子供は皆オジサンオジサンと云って懐いていたそうです。わけてもこの柳仙の処の子供は、特別に可愛がっていたせいでしょう。まるで親のように懐いておりましたし、それまでにも度々そんな事がありましたので、柳仙夫婦は快く子供の着物を着かえさしたりお菓子や寝床まで風呂敷に包んで、若親分に渡してやったそうです。
……それから若親分は自宅へ帰ると、直ぐに乾児どもを呼集め、その大勢の眼の前に、若い奥さんと世話人を呼付けてアッサリ離別を申渡しましたので、二人ともグーの音も出ないで荷物を片付けてスゴスゴと田舎へ帰りました。