Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
ホコリだらけの足跡だからツマリその足跡の主は推定、零時半乃至一時四十分頃までの間にあの窓から這入って来た事になる。ところで又その足跡が頗る珍妙なんで、皆して色々研究してみたがね。結局、地下足袋か何かの上から自動車のチュウブ類似のゴム製の袋をスッポリと穿めて、麻糸らしい丈夫なものでグルグルと巻立てた頗る無恰好な、大きな外観のものに相違ない。それもこの家の向う角の暗闇の中で準備したものに違いない事が、そこに落ちていた麻糸の切屑で推定される……という事にきまったがね」
「手がかりにはなりませんね。それじゃあ」
「ならんよ。よく郊外の掃溜や何かに棄ててある品物だからね。なかなか考えたものらしいよ。探偵劇の親玉の処へ這入るんだからね。ハハハ……」
「最初に発見したのは小間使の……エエト……何とか云いましたね……」
「市田イチ子だろう。まだ十七八の小娘だがね。サッキ僕等を出迎えていたじゃないか……気が附かなかった……ウン。その市田イチ子が今朝十時半過ぎだったと云うがハッキリしたことはわからん。毎朝の役目で今這入って来た扉をたたいて主人の轟氏を起しにかかったが、何度たたいても、声をかけても返事がない。