Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
を日本語で歌わせられたの……そうして三分ばかりして歌が済んじゃったら監督みたいな汚ない菜葉服の人が穴の明いたシャッポを脱いでモウ結構です。アリガトウ……って云ったきりドンドン他の場面を撮り初めるじゃないの。おまけに皆して妾をジロジロ見ているでしょう。貴美子さんはソコイラに居ないし、帰り道は知らないし、妾、どうしていいかわからなくなっちゃって、モウ些しで泣出すところだったのよ」
「馬鹿だね。エキストラなんかになるからさ」
「そうしたらね。その中にどこからかヒョックリ出て来た貴美子さんが、妾をモウ一度お湯に入れて、身じまいを直させている中に、頬ペタに赤痣のある五十位の立派な紳士の人が、セットの中で、妾に近付いて来てね。妾に名刺を差出しながら、どうも飛んだ失礼を致しました。こちらへドウゾと云ってね。妾と貴美子さんを自動車へ乗せてミカド・ホテルへ連れて行ってサンザ御馳走をして下すった上にね。京都や大阪や奈良あたりを毎日毎日、御自分の高級車で同乗して、見物させて下すったのよ。どこか貴方とお兄様とで、別荘をお建てになりたい処があったら、御遠慮なく仰言って下さいって……トテモお兄さまの脚本を賞めてらしたわ」