Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごかいのまど

五階の窓

平林 初之輔

Lesen Sie 五階の窓 (ごかいのまど) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.840 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

「すみませんが、電気をこちらへ引っ張ってくれませんか」

野田は言われるままに、電灯の紐をゆるめて百燭の球を窓の傍へ持っていって、右手でそれを差し上げた。

冬木刑事は窓枠のあちこちへ虫眼鏡を当ててしばらく熱心に何物かを探していたが、やがてナイフを取り出して細かい塵埃のようなものをかき集めて油紙の中へ入れた。それが済むと、今度は窓枠の下のリノリウムの床の上へ同じく虫眼鏡を当てて、蜘蛛のように這いながら前と同じように熱心に何物かを調べて、やはりナイフで塵埃をかき寄せて別の油紙に包んだ。

「風がなくてよい按配だった」

と彼は腰を伸ばしながら、油紙の包みを大事そうにポケットへしまった。

それからまたもとのようにドアに封印をして、二人は事務室のほうへ引き返して、ストーブの前に向かい合って腰を下ろした。

冬木刑事は朝日を一本ふかすと、

「どうもおじゃましました。いずれ……」

と挨拶しながら帰りかかったが、ふと何か思い出したものとみえて立ち止まって、

「三時ごろに社長室へ行ったタイピストは瀬川艶子さんとか言いましたね?」

野田はこの質問を聞くと、なぜか相手にも分かるほどわなわなと震えた。