Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
『いぶせますじせんしゅう』こうき
『井伏鱒二選集』後記
Lesen Sie 『井伏鱒二選集』後記 (『いぶせますじせんしゅう』こうき) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.132 Zeichen · 20 Bildschirme
資格が無いのだ」というような意味の事を言って、私たちをおどかしたのである。しかし私は、そのような作品には全然、無関心であった。そんな作品に打ち興じる兄を、軽薄だとさえ思った。
そうして私はその時、一冊の同人雑誌の片隅から井伏さんの作品を発見して、坐っておられないくらいに興奮し、「こんなのが、いいんです」と言って、兄に読ませたが、兄は浮かぬ顔をして、何だかぼやけた事を(何と言ったのか、いまは記憶に無いけれども)ムニャムニャ言っただけだった。しかし、私は確信していた。その三十種類くらいの同人雑誌に載っている全部の作品の中で、天才の作品は井伏さんのその「山椒魚」と、それから坪田譲治氏の、題は失念したけれども、子供を主題にした短篇小説だけであると思った。
私は自分が小説を書く事に於いては、昔から今まで、からっきし、まったく、てんで自信が無くて生きて来たが、しかし、ひとの作品の鑑賞に於いては、それだけに於いては、ぐらつく事なく、はっきり自信を持ちつづけて来たつもりなのである。
私はそのとき以来、兄たちが夏休み毎に東京から持って来るさまざまの文学雑誌の中から、井伏さんの作品を捜し出して、読み、その度毎に、実に、快哉を叫んだ。