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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうらくじん

享楽人

和辻 哲郎

Lesen Sie 享楽人 (きょうらくじん) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.551 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

彼らはただその壺の値段を見る。その壺で儲けたある骨董屋の事を考える。同様にまた彼らが一人の美女を見る場合にも、この女の容姿に盛られた生命の美しさは彼らには無関係である。彼らはただ肉欲の対象として、牛肉のいい悪いを評価すると同じ心持ちで、評価する。この種の享楽の能力は、嗅覚と味覚の鈍麻した人が美味を食う時と同じく、零に近いほどに貧弱である。

放蕩者は一般に享楽人と認められる。しかし放蕩者のうちに右のごとき貧弱な享楽人の多いことは疑えない。芸妓の芸が音曲舞踊の芸ではなくして枕席の技巧を意味せられる時代には、通人はもはや昔のように優れた享楽人であることを要しないのである。

享楽の能力が豊富であるとは、物象に現われた生命の価値を十分に味わい得るということである。そのためにはあらゆる種類の物象に対して常に生命の共鳴を感じ得るほどに自己の生命が広く豊かでなくてはならない。

木下杢太郎はその享楽の力の広汎豊富な点において確かに現代に傑出した男である。彼はその触れる物象に対して類まれなほど活発に反応する。そうしてその美を新鮮な味わいにおいてすくい取る。しかも彼は少数の物象にとどまることをしないで、彼を取り巻く無数の物象に、多情と思えるほどな愛情をふり撒く。