Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんしっかく
人間失格
Lesen Sie 人間失格 (にんげんしっかく) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.014 Zeichen · 141 Bildschirme
そうして帰る時には家族の者たち、また親戚の者たちにまで、実におびただしくお土産を買って来るのが、まあ、父の趣味みたいなものでした。
いつかの父の上京の前夜、父は子供たちを客間に集め、こんど帰る時には、どんなお土産がいいか、一人々々に笑いながら尋ね、それに対する子供たちの答をいちいち手帖に書きとめるのでした。父が、こんなに子供たちと親しくするのは、めずらしい事でした。
「葉蔵は?」
と聞かれて、自分は、口ごもってしまいました。
何が欲しいと聞かれると、とたんに、何も欲しくなくなるのでした。どうでもいい、どうせ自分を楽しくさせてくれるものなんか無いんだという思いが、ちらと動くのです。と、同時に、人から与えられるものを、どんなに自分の好みに合わなくても、それを拒む事も出来ませんでした。イヤな事を、イヤと言えず、また、好きな事も、おずおずと盗むように、極めてにがく味い、そうして言い知れぬ恐怖感にもだえるのでした。つまり、自分には、二者選一の力さえ無かったのです。これが、後年に到り、いよいよ自分の所謂「恥の多い生涯」の、重大な原因ともなる性癖の一つだったように思われます。