Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんソーセージ
人間腸詰
夢野 久作
Lesen Sie 人間腸詰 (にんげんソーセージ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.648 Zeichen · 43 Bildschirme
その熊みたいな手で何の雑作もなく女の手を解かせて、シッカリ握っている右手を開かせますと、中から見覚えのある台湾館備付けの桃色の支那便箋を幾つにも折ったものが出て来ました。そのレターペーパの折り目を拡げたやつを受取ったカント・デックは、あっしの鼻の先にブラ下げて見せながら、今一度ニコニコと笑いました。赤チャンをあやすような顔で、あっしの顔を覗き込みましたがね。
それは筆と墨で書いた立派な日本文でした。多分、台湾館の事務室に在った藤村さんの硯箱を使ったものでしょう。昔の百人一首に書いて在るような立派な文字でしたがね。
「チイちゃんと一所に出かけてはいけません。チイちゃんは支那人です。亜米利加のギャングの手先です。わたくしはチイちゃんと一緒にギャングのメカケになった、かわいそうな日本の女です。あたしの事を日本の両親につたえて下さい。
天草早浦生れ
ハル吉親方様中田フジ子より」
その死骸がフイ嬢の死骸だとわかると、あっしは何かしら叫びながら飛び付こうとしたように思います。今までに無い力が出たので、あぶなくデックを振り離すところでしたが、そのあっしの左の手首をガッシリと掴み止めたデックは面と向って立ちながら今一度ニヤニヤと笑って見せました。