Japanische Klassiker mit Furigana
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にんぎょ
人魚
火野 葦平
Lesen Sie 人魚 (にんぎょ) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.457 Zeichen · 15 Bildschirme
すこし沖に出て、てんぐさ、みるめ、昆布などの海草がしげり、赤い星のような人手が、岩のあいだによこたわっているところで、人魚はいっぴきの鯖をとらえました、それまで、海中に群れていた多くの魚たちは人魚が突進してくると、木の葉をふきちらすようにして逃げてしまったのです。鈍重ないっぴきの鯖がとうとう人魚につかまりました。すると、人魚は鯖の頭と尾とを両手につかんで、いきなり口にもってゆきかぶりつきました。そのときのわたしのおどろきを想像してください。わたしはあっけにとられて、ぽかんと口をあけたまま、人魚のそのはしたない動作を見つめていました。人魚が急に用事ありげに泳ぎだしたのは、空腹を思いだしたからだったのです。人魚はその鯖をむしゃむしゃと食べてしまいますと、のこった頭と骨とを投げすてました。そうしてさらにつぎの餌をもとめてまたけわしい眼つきで泳ぎだしました。これまでうっとりとした眼にすんでいた瞳にはなにかいやしげないろが浮かび、あちらこちら魚を追いまわす姿は、うつくしいだけにざんにんな不気味さをはなちます。またとらえられたいっぴきの縞鯛が人魚の食膳にのぼりました。