Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にんぎょ

人魚

火野 葦平

Lesen Sie 人魚 (にんぎょ) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.457 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

われわれ河童にたいして、あなたほど深い愛情と理解とを示してくれるひとはほかにありませんし、わたしのいまの奇妙ななやみも、あなたなら解決してくださるように思うのです。おいそがしいでしょうが、まず、ひととおりおききください。

一週間ほど前のことでした。夕ぐれどきになって、わたしは棲んでいる山の池を出て、ぶらりと海岸の方へ行きました。わたしはぶしょう者で、めったに外出をしたことはなかったのですが、その日はなぜともなくふと久しぶりに波の音がききたくなって、海の方へ出かけたのです。もう秋のちかいころですから、たそがれどきになると、ひやりとした風が吹くようになっていて、わたしの棲んでいる池のおもてに散る木の葉のいろも、季節のうつりかわりをあらわしていました。わたしが波の音をききたくなったというのも、単調な池の底にあって、やはり海にひろびろとした秋の気配をさぐりたくなったのかも知れません。そんな飄然とした思いが、わざわいとなって、現在こんな苦痛をなめなくてはならなくなるということが、そのときにどうしてわかりましょう。

あまり遠くはないので、まもなくわたしは渚ちかくへ出ました。