Japanische Klassiker mit Furigana
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ものをこわすのがしょうばいじけん
什器破壊業事件
海野 十三
Lesen Sie 什器破壊業事件 (ものをこわすのがしょうばいじけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.352 Zeichen · 31 Bildschirme
彼女は、入口に立っていちょっと逡巡したが、意を決して扉を叩いた。すると中から、
「どうぞ、おはいりください。扉に錠はかかっていませんから、あけておはいりください」
と、若々しいはっきりした声が聞えた。風間光枝は、吾れにもなく、身体がひきしまるように感じて、扉を押した。すると、室内には、入ったすぐのところに大きな衝立があって、向うを遮っていた。その衝立の向うから、ふたたび声がかかった。
「さあどうぞ。どうぞ、その椅子に掛けて、ちょっとお待ちください。ちょっといま手が放せないことをやっていますから、掛けてお待ちください」
「はあ、どうも。では失礼いたします」
風間光枝は、挨拶をかえして、入口を入った左の隅のところにある応接椅子に腰を下ろした。その傍に、別な部屋へいくらしい扉があって、閉っていた。その扉のうえには、どこかの汽船会社のカレンダーが「九月」の面をこっちに見せて、下っていた。
光枝の腰を掛けているところからは、やはり衝立の奥が見えなかった。彼女はしばらくじっとしていた。衝立の向うで声をかけたのは帆村であろうが、彼は一体なにをしているのか、ことりとも物音をたてない。