Japanische Klassiker mit Furigana
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あだうちさんたい
仇討三態
菊池 寛
Lesen Sie 仇討三態 (あだうちさんたい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.136 Zeichen · 33 Bildschirme
「なんでもお前さんは、若い時は大名のお膳番を勤めたことがあるそうだが、本当かな!」
お庭番の中間が、意識して嘉平次を煽てにかかった。
「うむ! なるほど、なるほど」
一座の者は、初めてきいたように感嘆した。好人物の嘉平次を煽ててやろうという心がみんなの心に少しずつ湧いていた。
「えへへへへへ、そいつを知っておられると、お恥かしい!」
嘉平次は、恥かしそうに、頭を掻いた。が、恥かしそうにしたのは、表面だけである。彼が大名のお膳番を勤めたということは、彼の好んでつく嘘だった。彼は、酒を飲むと決ったようこの嘘をついた。もう、この屋敷へ来てからも、二、三度は繰り返した嘘である。
本当に、讃州丸亀の京極の藩中でお膳番を勤めたのは、彼の旧主の鈴木源太夫である。彼は源太夫の家に中間として長い間仕えていたために、見様見真似に包丁の使い方を覚えたのに過ぎないのである。
「お膳番といえば、立派なお武士だ!」
お庭番の中間が、のしかかるように、煽てた。嘉平次は、そういってくれるのを待っていたのである。が、彼はまた頭を掻いてみせた。
「お膳番なんて、武士のはしくれでさ、知行といって、僅か二十石五人扶持、足の裏にくっついてしまいそうな糊米ほどしかありませんや」