Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

Lesen Sie 仇討姉妹笠 (かたきうちきょうだいがさ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.178 Zeichen · 159 Bildschirme

Aozora Bunko

少し汗ばんでいる額の辺りへ、ばらりとほつれた前髪をかけ、薄紫の半襟から脱いた、白蝋のような頸を前に傾げ、潤いを持たせた切長の眼を、半眼にうっとりと見ひらいて、あやめは唄っているのであった。

※(歌記号、1-3-28)やるせなや帆かけて通る船さえも

都鳥番いは水脈にせかれたり

不意にあやめは溜息をし、だるそうに三味線を膝の上へ置くと、襖ごしに隣室へ声をかけた。

「主税さま、何をしておいで?」

そとから舞い込んで来たらしい、雌雄の黄蝶がもつれ合いながら、襖へ時々羽を触れては、幽かな音を立てていた。

「例によりまして例の如くで」

主税の声が襖のむこうから、物憂そうに聞こえてきた。

「あやめ殿にはご機嫌そうな、三味線を弾いて小唄をうとうて」

「そう覚しめして?」と眉と眉との間へ、縦皺を二筋深く引き、

「昼日中なんの機嫌がよくて、三味線なんか弾きましょう」

「…………」

主税からの返事は聞こえてこなかった。

「ねえ主税様」と又あやめは云った。

「心に悶えがあったればこそ、座頭の沢市は三味線を弾いて、小唄をうたったじゃアありませんか」

隣室からは返事がなく、幽かな空咳が聞こえてきた。