Japanische Klassiker mit Furigana
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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
Lesen Sie 仇討姉妹笠 (かたきうちきょうだいがさ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.178 Zeichen · 159 Bildschirme
「南無三宝! 方々待たれい! 火の光が見える、何者か来る! 目つけられては一大事! 残念ながら一まず引こう! 味方の死人負傷者を片付け、退散々々方々退散」と杉の根元にいる覚兵衛が、狼狽した声でそう叫んだ。
いかにも訓練が行き届いていた。その声に応じて十数人の、飛田林覚兵衛の一味達は、仆れている死人や負傷者を抱え、林を分け藪を巡り、いずこへともなく走り去った。
で、その後には気味の悪いような、静寂ばかりがこの境地に残った。
常磐木――杉や松や柏や、榎、桧などの間に立ち雑って、仄白い花を咲かせていた桜の花がひとしきり、花弁を瀧のように零したのは、逃げて行く際に覚兵衛の一味が、それらの木々にぶつかったからであろう。
と、俄然主税の体が、刀をしっかりと握ったまま腐木のように地に仆れた。斬られて死んで斃れたのではなかった。
心身まったく疲労果て、気絶をして仆れたのである。
そういう主税の仆れている体へ、降りかかっているのは落花であり、そういう主税の方へ寄って来るのは薄赤い燈の光であった。
そうして薄赤いその燈の光は、昨夜御用地の林の中で、老人と少年と女猿廻しとが、かかげていたところの龕燈の火と、全く同じ光であった。