Japanische Klassiker mit Furigana
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あだうちきんしれい
仇討禁止令
菊池 寛
Lesen Sie 仇討禁止令 (あだうちきんしれい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.238 Zeichen · 35 Bildschirme
しかし、新一郎には到底及ばぬ。
「拙者も、是非!」幸田八五郎がいった。
彼も相当な剣客であった。しかし、天野新一郎とは、問題にならぬ。
衆目の見る所、自分よりは腕に相違のある連中に名乗り出でられて、新一郎も黙っているわけにはいかぬ。
「拙者も、ぜひお加え下されい」と、いわずにはおられなかった。
小泉も山田も、新一郎を討手にするつもりはなかったらしく、小泉は、
「いや、天野氏、貴殿はお控えなされたがよい。貴殿を、左様な苦しい立場に置くことは、我々の本意ではない」と、おだやかにいった。
「いや」新一郎は、わずかに膝を乗り出しながら、「貴殿方の御好意はよく分かっている。そのお心なればこそ、拙者に中座せよといわれたのであろう。しかし、先ほども申した通り、私事は私事、公事は公事。この場合左様な御斟酌は、一切御無用に願いたい」と、はっきりいい切った。
「しかし、天野氏、貴殿は成田殿御息女とは、すでに御結納が……」と、小泉がいいかけると、新一郎は憤然として、
「天下大変の場合、左様な私情に拘っておられましょうや。無用な御心配じゃ!」と、喝破した。
皆はだまった。そして、新一郎の意気に打たれて、凛然と奮い立った。