Japanische Klassiker mit Furigana
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あだうちきんしれい
仇討禁止令
菊池 寛
Lesen Sie 仇討禁止令 (あだうちきんしれい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.238 Zeichen · 35 Bildschirme
ことに、嫡子万之助殿などは怪我させてはならぬ」と、皆に注意してくれたのが、新一郎としては、嬉しかった。
さすがに、明朝の出陣を控えて、城下はなんとなく騒々しかった。いつもは暗い町が、今宵は灯が洩れる家が多く、子の刻近くなっても、物音人声などが外へきこえる家が多かった。
六人は、銘々黒布をもって、覆面をした。成田邸は、淋しい馬責場を前に控えた五番町にあった。
新一郎は、一度は二番町の自邸に帰り、家人たちには、寝たと見せかけて、子少し前に、わが家の塀を乗り越えて、馬責場へ急いだ。
正子の刻には、六人とも集った。
「天野氏、近頃心苦しいことではござるが、成田邸への御案内は、貴殿にお願い申す」と、山田がいった。
「承知仕った」
新一郎の顔が、蒼白になっていることは、月のない闇なので、誰も気がつかなかった。
成田邸の裏手の塀に、縄梯子がかかった。
新一郎は、一番に邸内へ入った。
泉水の向うの十二畳が頼母の居間、その次の八畳を隔てて向うに、お八重殿の居間がある。どうか起きて来てくれるなと、心に祈った。
たとい、覆面していても、お八重殿や万之助には、姿を見られたくないと思った。