Japanische Klassiker mit Furigana
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いまどしんじゅう
今戸心中
広津 柳浪
Lesen Sie 今戸心中 (いまどしんじゅう) von 広津 柳浪 (ひろつりゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.688 Zeichen · 74 Bildschirme
お前さんの性質も、私はよく知ッている。それだから、お前さんが得心した上で、平田を故郷へ出発せたいと、こうして平田を引ッ張ッて来るくらいだ。不実に考えりゃア、無断で不意と出発て行くかも知れない。私はともかく、平田はそんな不実な男じゃない、実に止むを得ないのだ。もう承知しておくれだッたのだから、くどく言うこともないのだが……。お前さんの性質だと……もうわかッてるんだから安心だが……。吉里さん、本統に頼むよ」
吉里はまた泣き出した。その声は室外へ漏れるほどだ。西宮も慰めかねていた。
「へい、お誂え」と、仲どんが次の間へ何か置いて行ッたようである。
また障子を開けた者がある。次の間から上の間を覗いて、「おや、座敷の花魁はまだあちらでございますか」と、声をかけたのは、十六七の眼の大きい可愛らしい女で、これは小万の新造のお梅である。
「平田さんもまだおいでなさらないんですね」と、お梅は仲どんが置いて行ッた台の物を上の間へ運び、「お飯になすッちゃアいかがでございます。皆さんをお呼び申しましょうか」
「まアいいや。平田は吉里さんの座敷にいるかい」
「はい。お一人でお臥ッていらッしゃいましたよ。