Japanische Klassiker mit Furigana
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いまどしんじゅう
今戸心中
広津 柳浪
Lesen Sie 今戸心中 (いまどしんじゅう) von 広津 柳浪 (ひろつりゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.688 Zeichen · 74 Bildschirme
「よろしい、よろしい」と、西宮はうなずきながら、「平田の方は断念ッてくれるね。私もお前さんのことについちゃア、後来何とでもしようから」
「しかたがありません、断念らないわけには行かないのだから。もう、音信も出来ないんですね」
「さア。そう思ッていてもらわなければ……」と、西宮も判然とは答えかねた。
吉里はしばらく考え、「あんまり未練らしいけれどもね、後生ですから、明日にも、も一遍連れて来て下さいよ」と、顔を赧くしながら西宮を見る。
「もう一遍」
「ええ。故郷へ発程までに、もう一遍御一緒に来て下さいよ、後生ですから」
「もう一遍」と、西宮は繰り返し、「もう、そんな間はないんだよ」
「えッ。いつ故郷へ立発んですッて」と、吉里は膝を進めて西宮を見つめた。
「新橋の、明日の夜汽車で」と、西宮は言いにくそうである。
「えッ、明日の……」と、吉里の顔色は変ッた。西宮を見つめていた眼の色がおかしくなると、歯をぎりぎりと噛んだ。西宮がびッくりして声をかけようとした時、吉里はううんと反ッて西宮へ倒れかかッた。
折よく入ッて来た小万は、吉里の様子にびっくりして、「えッ、どうおしなの」