Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けさのゆき

今朝の雪

宮本 百合子

Lesen Sie 今朝の雪 (けさのゆき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.936 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

表面に波立ったところのないそれらのたよりは、いつも峯子の心に不思議な作用を及ぼした。峯子は、その手紙をよみ、くりかえしまた読んでいると、いつも心が落ちつけられた。正二が無事であるとわかったからというだけでなかった。手紙にこもっている沈着な柔軟さには、どれだけの精神の包括力や堅忍や洞察や自分への思いやりが裏づけられているかということを感じずにはいられなかった。正二の手紙から息ぶいて来るそれらの感銘は、ひとりでに峯子が自分の感情を持ってゆく、その持ちかたに影響した。峯子もだんだん、留守の正二に向って迸る自分の激情に我ながら足をとられなくなり、その心の波濤をいつくしみながら、正二への手紙には、日々の出来ごとを細かく面白くつたえつつ、そこに自分達をあらわしてゆくすべを学びはじめた。

峯子はそのことを深くふかくよろこびとした。恋しいひとに、あなたが恋しいとばかりしか書けないとしたら、それは何と味気なかろう。愛す、愛すと、紙が黒くなる迄かいたとして、それで心の生きた響きがどこにあらわされよう。いろいろなことをして、いろいろなことを思って、生きて動いて暮している、その人を互にいつくしむからには、互いに生活の姿をうつし合えないで、どうして溶けあってゆけるだろう。