Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶっぽうそうちょう

仏法僧鳥

斎藤 茂吉

Lesen Sie 仏法僧鳥 (ぶっぽうそうちょう) von 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.351 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

『山はこれでも可なり深いらしいですがね。どれ、小便でもして来るかな』

『もっと奥の方でなさいよ。ここだって霊場ですから』

『承知しました』

杉と檜と鬱蒼として繁って、真昼でも木下闇を作っているらしいところに行き、柵のところで小用を足した。そのへんにも幾つか祠があり、種々の神仏が祭ってあるらしいが、夜だからよくは分からない。老木の梢には時々木兎と蝙蝠が啼いて、あとはしんとして何の音もしない。

それから小一時間も過ぎてまた小用を足しに来た。小用を足しながら聴くともなく聴くと、向って右手の山奥に当って、実に幽かな物声がする。私は、『はてな』と思った。声は、cha ― cha というように、二声に詰まって聞こえるかと思うと、cha ― cha ― cha と三声のこともある。それが、遙かで幽かであるけれども、聴いているうちにだんだん近寄るようにも思える。それから二ついるようにも思える。私は木曾に一晩宿ったとき、夜ふけて一度この鳥のこえを聴いたことがあるので、その時にはもう仏法僧鳥と極めてしまっていた。

『O先生、いよいよ啼きだしました。T君もM君も来ませんか』