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Japanische Klassiker mit Furigana

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いせのまき

伊勢之巻

泉 鏡花

Lesen Sie 伊勢之巻 (いせのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.617 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

宵から、灯も人声も、往来の脚も、この前あたりがちょうど切目で、後へ一町、前へ三町、そこにもかしこにも両側の商家軒を並べ、半襟と前垂の美しい、姐さんが袂を連ねて、式のごとく、お茶あがりまし、お休みなさりまし、お飯上りまし、お饂飩もござりますと、媚めかしく呼ぶ中を、頬冠やら、高帽やら、菅笠を被ったのもあり、脚絆がけに借下駄で、革鞄を提げたものもあり、五人づれやら、手を曳いたの、一人で大手を振るもあり、笑い興ずるぞめきに交って、トンカチリと楊弓聞え、諸白を燗する家ごとの煙、両側の廂を籠めて、処柄とて春霞、神風に靉靆く風情、灯の影も深く、浅く、奥に、表に、千鳥がけに、ちらちらちらちら、吸殻も三ツ四ツ、地に溢れて真赤な夜道を、人脚繁き賑かさ。

花の中なる枯木と観じて、独り寂寞として茶を煮る媼、特にこの店に立寄る者は、伊勢平氏の後胤か、北畠殿の落武者か、お杉お玉の親類の筈を、思いもかけぬ上客一人、引手夥多の彼処を抜けて、目の寄る前途へ行き抜けもせず、立寄ってくれたので、国主に見出されたほど、はじめ大喜びであったのが、灯が消え、犬が吠え、こうまた寒い風を、欠伸で吸うようになっても、まだ出掛けそうな様子も見えぬので。