Japanische Klassiker mit Furigana
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いせのまき
伊勢之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 伊勢之巻 (いせのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.617 Zeichen · 35 Bildschirme
それではお気味が悪くって、さっさと通り抜けておしまいなされましたか。」
「詰らないことを。」
客は引緊った口許に微笑した。
「しかし、土地にも因るだろうが、奥州の原か、飛騨の山で見た日には、気絶をしないじゃ済むまいけれど、伊勢というだけに、何しろ、電信柱に附着けた、ペンキ塗の広告まで、土佐絵を見るような心持のする国だから、赤い唐縮緬を着た姐さんでも、京人形ぐらいには美しく見える。こっちへ来るというので道中も余所とは違って、あの、長良川、揖斐川、木曾川の、どんよりと三条並んだ上を、晩方通ったが、水が油のようだから、汽車の音もしないまでに、鵲の橋を辷って銀河を渡ったと思った、それからというものは、夜に入ってこの伊勢路へかかるのが、何か、雲の上の国へでも入るようだったもの、どうして、あの人形に、心持を悪くしてなるものか。」
「これは、旦那様お世辞の可い、土地を賞められまして何より嬉しゅうござります。で何でござりまするか、一刻も早く御参詣を遊ばそう思召で、ここらまで乗切っていらっしゃいました?」
「そういうわけでもないが、伊勢音頭を見物するつもりもなく、古市より相の山、第一名が好いではないか、あいの山。