Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
でんきちのかたきうち
伝吉の敵打ち
Lesen Sie 伝吉の敵打ち (でんきちのかたきうち) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.714 Zeichen · 10 Bildschirme
「何が嘘じゃ? この村のものにも聞いて見るが好い。己は去年の大患いから腰ぬけになってしもうたのじゃ。じゃが、――」
浄観はちょいと言葉を切ると、まともに伝吉の目の中を見つめた。
「じゃが己は卑怯なことは云わぬ。いかにもおぬしの云う通り、おぬしの父親は己の手にかけた。この腰抜けでも打つと云うなら、立派に己は打たれてやる。」
伝吉は短い沈黙の間にいろいろの感情の群がるのを感じた。嫌悪、憐憫、侮蔑、恐怖、――そう云う感情の高低は徒に彼の太刀先を鈍らせる役に立つばかりだった。伝吉は浄観を睨んだぎり、打とうか打つまいかと逡巡していた。
「さあ、打て。」
浄観はほとんど傲然と斜に伝吉へ肩を示した。その拍子にふと伝吉は酒臭い浄観の息を感じた。と同時に昔の怒のむらむらと心に燃え上るのを感じた。それは父を見殺しにした彼自身に対する怒だった。理が非でも仇を打たなければ消えることを知らない怒だった。伝吉は武者震いをするが早いか、いきなり浄観を袈裟がけに斬った。……
伝吉の見事に仇を打った話はたちまち一郷の評判になった。公儀も勿論この孝子には格別の咎めを加えなかったらしい。