Japanische Klassiker mit Furigana
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はくしゃくのかんざし
伯爵の釵
泉 鏡花
Lesen Sie 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.403 Zeichen · 39 Bildschirme
眩しかったろう。坊主は開いた目も閉じて、とした顔色で、しっきりもなしに、だらだらと涎を垂らす。「ああ、手がだるい、まだ?」「いま一息。」――
不思議な光景は、美しき女が、針の尖で怪しき魔を操る、舞台における、神秘なる場面にも見えた。茶店の娘とその父は、感に堪えた観客のごとく、呼吸を殺して固唾を飲んだ。
……「ああ、お有難や、お有難い。トンと苦悩を忘れました。お有難い。」と三味線包、がっくりと抜衣紋。で、両掌を仰向け、低く紫玉の雪の爪先を頂く真似して、「かように穢いものなれば、くどくどお礼など申して、お身近はかえってお目触り、御恩は忘れぬぞや。」と胸を捻じるように杖で立って、
「お有難や、有難や。ああ、苦を忘れて腑が抜けた。もし、太夫様。」と敷居を跨いで、蹌踉状に振向いて、「あの、そのお釵に……」――「え。」と紫玉が鸚鵡を視る時、「歯くさが着いてはおりませぬか。恐縮や。……えひひ。」とニヤリとして、
「ちゃっとお拭きなされませい。」これがために、紫玉は手を掛けた懐紙を、余儀なくちょっと逡巡った。
同時に、あらぬ方に蒼と面を背けた。
六
紫玉は待兼ねたように懐紙を重ねて、伯爵、を清めながら、森の径へ行きましたか、坊主は、と訊いた。