Japanische Klassiker mit Furigana
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はくしゃくのかんざし
伯爵の釵
泉 鏡花
Lesen Sie 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.403 Zeichen · 39 Bildschirme
「……帽子を……被っていたとすれば、男の児だろうが、青い鉢巻だっけ。……麦藁に巻いた切だったろうか、それともリボンかしら。色は判然覚えているけど、……お待ちよ、――とこうだから。……」
取って着けたような喫み方だから、見ると、ものものしいまでに、打傾いて一口吸って、
「……年紀は、そうさね、七歳か六歳ぐらいな、色の白い上品な、……男の児にしてはちと綺麗過ぎるから女の児――だとリボンだね。――青いリボン。……幼稚くたって緋と限りもしないわね。では、やっぱり女の児かしら。それにしては麦藁帽子……もっともおさげに結ってれば……だけど、そこまでは気が付かない。……」
大通りは一筋だが、道に迷うのも一興で、そこともなく、裏小路へ紛れ込んで、低い土塀から瓜、茄子の畠の覗かれる、荒れ寂れた邸町を一人で通って、まるっきり人に行合わず。白熱した日盛に、よくも羽が焦げないと思う、白い蝶々の、不意にスッと来て、飜々と擦違うのを、吃驚した顔をして見送って、そして莞爾……したり……そうした時は象牙骨の扇でちょっと招いてみたり。……土塀の崩屋根を仰いで血のような百日紅の咲満ちた枝を、涼傘の尖で擽ぐる、と堪らない。