Japanische Klassiker mit Furigana
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よれいはつたび
余齢初旅
上村 松園
Lesen Sie 余齢初旅 (よれいはつたび) von 上村 松園 (うえむらしょうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.003 Zeichen · 32 Bildschirme
十月二十九日の晩、たしか十時半すぎであったとおもう。京都駅から汽車にのって出発した。汽車はこれから大阪をすぎ中国筋をまっしぐらに走りつづけて、関門海峡をへて、長崎にゆき、ここから船にのった。三十日は長崎の宿に一泊して、明くる三十一日の午前十時頃に長崎丸にのりこんだのであった。
天気は大へんよかった。船はたしか六千トンもあったかとおもう。その夜は船の中で寝て、翌日の昼頃にはもう上海へつくことになっていた。
夜があけて、船室から甲板に出てみると来し方の海水は青々としているけれども、行く手の海は赤い色をしている。それまでは島もなく目を遮るものとてもなかったが、ゆく手には石がごじゃごじゃに乱れ散ったようになっているのが望見される。そのあたりが上海だということであった。
船では華中鉄道の副総裁である田さんや夫人や秘書の方々と一緒であった。東京から上海へゆかれるので一緒に京都の駅で落ち合って出発したのであった。船の中では私はその人たちと一緒ににぎやかに語り合いながら海をつつがなく渡ってしまったわけであった。静かな航海であった。昼食はそれでも船の中で終えて、それから上陸すると上海北四川路にある新亜細亜ホテルに落着いた。