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Japanische Klassiker mit Furigana

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さっかのてちょう

作家の手帖

太宰 治

Lesen Sie 作家の手帖 (さっかのてちょう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.838 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

風車がぴたりと停止した時、

「ありがとう!」明朗な口調で青年が言った。

私もはっきり答えた。

「ハバカリサマ。」

それは、どんな意味なのか、私にはわからない。けれども私は、そう言って青年に会釈して、五、六歩あるいて、実に気持がよかった。すっとからだが軽くなった思いであった。実に、せいせいした。家へ帰って、得意顔でその事を家の者に知らせてやったら、家の者は私を、とんちんかんだと言った。

拙宅の庭の生垣の陰に井戸が在る。裏の二軒の家が共同で使っている。裏の二軒は、いずれも産業戦士のお家である。両家の奥さんは、どっちも三十五、六歳くらいの年配であるが、一緒に井戸端で食器などを洗いながら、かん高い声で、いつまでも、いつまでも、よもやまの話にふける。私は仕事をやめて寝ころぶ。頭の痛くなる事もある。けれども、昨日の午後、片方の奥さんが、ひとりで井戸端でお洗濯をしていて、おんなじ歌を何べんも何べんも繰り返して唄うのである。

ワタシノ母サン、ヤサシイ母サン。

ワタシノ母サン、ヤサシイ母サン。

やたらに続けて唄うのである。私は奇妙に思った。まるで、自画自讃ではないか。