Japanische Klassiker mit Furigana
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かじつ
佳日
Lesen Sie 佳日 (かじつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.912 Zeichen · 30 Bildschirme
」私は、少し嘘を言った。
「はあ、」小坂吉之助氏は平気である。「よろしゅうございます。こちらで、なんとか致しましょう。おい、」と二番目の姉さんを小声で呼んで、「お前のところに、モオニングがあったろう。電話をかけて直ぐ持って来させるように。」
「いやよ。」言下に拒否した。顔を少し赤くして、くつくつ笑っている。「お留守のあいだは、いやよ。」
「なんだ、」小坂氏はちょっとまごついて、「何を言うのです。他人に貸すわけじゃあるまいし。」
「お父さん、」と上の姉さんも笑いながら、「そりゃ当り前よ。お父さんには、わからない。お帰りの日までは、どんなに親しい人にだって手をふれさせずに、なんでも、そっくりそのままにして置かなければ。」
「ばかな事を。」小坂氏は、複雑に笑った。
「ばかじゃないわ。」そう呟いて一瞬、上の姉さんは堪えがたいくらい厳粛な顔をした。すぐにまた笑い出して、「うちのモオニングを貸してあげましょう。少しナフタリン臭くなっているかも知れませんけど、ね、」と私のほうに向き直って言って、「うちのひとには、もう、なんにも要らないのです。モオニングが、こんな晴れの日にお役に立ったら、うちのひとだって、よろこぶ事でございましょう。