Japanische Klassiker mit Furigana
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ぞくしゅう
俗臭
織田 作之助
Lesen Sie 俗臭 (ぞくしゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.630 Zeichen · 70 Bildschirme
一枚々々皺をのばして、胴巻きにしまっているものを、見す/\あっという間の快楽のために失ってなるものか。春松は遊びが好きで困り者だったが、その代り、白金分離の仕事はまことに鮮かだった。先ずガラス棒を火で焼き、それを挽臼で挽き砕いて、粉にする。それを木製のゴマいりにいれ、たらいの水の中で静かに揺り動かすと、白金まじりの金属が残って砂粉だけが水の中に逃げる。その手加減がむずかしいのだ。少し手元が狂えば大切な白金が逃げる。春松のゴマいりを揺り動かす手付きは、見ていて惚々するほどで、しかも逃げた砂粉を再び何度も/\ゴマいりにいれて、いってみれば、女が蚤を探す時の熱心さがあった。尚、春松は炊事も上手であった。鰯の煮物を作るにも、しそと土しょうがをいれ、酢と醤油以外に水を使わず、些も生臭味の出ない様に煮るこつを心得ているといった風で、やもめ暮しに重宝であった。が、ある日、春松は雨の土砂降りの中を廃球買いに出歩いたのが原因で、感冒を引き、肺炎になった。三十九度五分の熱が三日も下らず、派出看護婦を雇った。二十二三の色黒い器量のよくない女であった。が、何となく頼もしく、同じ家に寝泊りしているので自然情も移るのだ。