Japanische Klassiker mit Furigana
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やすきちのてちょうから
保吉の手帳から
Lesen Sie 保吉の手帳から (やすきちのてちょうから) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.771 Zeichen · 18 Bildschirme
「だが、賞与さえ出るとなれば、誰でも危険を冒すかどうか?――そいつもまた少し疑問ですね。」
大浦は今度は黙っていた。が、保吉が煙草を啣えると、急に彼自身のマッチを擦り、その火を保吉の前へ出した。保吉は赤あかと靡いた焔を煙草の先に移しながら、思わず口もとに動いた微笑を悟られないように噛み殺した。
「難有う。」
「いや、どうしまして。」
大浦はさりげない言葉と共に、マッチの箱をポケットへ返した。しかし保吉は今日もなおこの勇ましい守衛の秘密を看破したことと信じている。あの一点のマッチの火は保吉のためにばかり擦られたのではない。実に大浦の武士道を冥々の裡に照覧し給う神々のために擦られたのである。
(大正十二年四月)