Japanische Klassiker mit Furigana
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はいかいさだん
俳諧瑣談
寺田 寅彦
Lesen Sie 俳諧瑣談 (はいかいさだん) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.389 Zeichen · 15 Bildschirme
きれいに片付いた六畳ぐらいの居間の小さな火鉢の前に寒そうな顔色をして端然と正座しているのである。
文章会で四方太氏が自分の文章を読み上げる少しさびのある音声にも、関西なまりのある口調にも忘れ難い特色があったが、その読み方も実にきちんとした歯切れのいい読み方であった。「ホッ、ホッ、ホッ」と押し出すような特徴ある笑声を思い出すのである。
ある冬の日の本郷通りで会った四方太氏は例によってきちんとした背広に外套姿であったが、首には玉子色をしたビロードらしい襟巻をしていた。その襟巻を行儀よく二つ折りにした折り目に他方の端をさし込んだその端がしわ一つなくきちんとそろって結び文の端のように、おたいこ結びの帯の端のように斜めに胸の上に現われていた。こういういで立ちをした白皙無髯、象牙で刻したような風貌が今でも実にはっきりと思い出されるのである。
この街頭における四方太氏のいで立ちを夏目先生に報告したら、どういうわけか先生がひどくおもしろがって腹が痛くなるほど笑われたことも思い出すのである。このおかしかったわけは今でもわからない。
そのころであったと思う。自分は白いネルをちょん切っただけのものを襟巻にしていた。