Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうとう
偸盗
Lesen Sie 偸盗 (ちゅうとう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.934 Zeichen · 97 Bildschirme
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月はまだ上らない。見渡す限り、重苦しいやみの中に、声もなく眠っている京の町は、加茂川の水面がかすかな星の光をうけて、ほのかに白く光っているばかり、大路小路の辻々にも、今はようやく灯影が絶えて、内裏といい、すすき原といい、町家といい、ことごとく、静かな夜空の下に、色も形もおぼろげな、ただ広い平面を、ただ、際限もなく広げている。それがまた、右京左京の区別なく、どこも森閑と音を絶って、たまに耳にはいるのは、すじかいに声を飛ばすほととぎすのほかに、何もない。もしその中に一点でも、人なつかしい火がゆらめいて、かすかなものの声が聞こえるとすれば、それは、香の煙のたちこめた大寺の内陣で、金泥も緑青も所斑な、孔雀明王の画像を前に、常燈明の光をたのむ参籠の人々か、さもなくば、四条五条の橋の下で、短夜を芥火の影にぬすむ、こじき法師の群れであろう。あるいはまた、夜な夜な、往来の人をおびやかす朱雀門の古狐が、瓦の上、草の間に、ともすともなくともすという、鬼火のたぐいであるかもしれない。が、そのほかは、北は千本、南の鳥羽街道の境を尽くして、蚊やりの煙のにおいのする、夜色の底に埋もれながら、河原よもぎの葉を動かす、微風もまるで知らないように、沈々としてふけている。