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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼうじんのげん

傍人の言

豊島 与志雄

Lesen Sie 傍人の言 (ぼうじんのげん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.728 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

ところで、物を書く以上は、書くに足りるだけのものを書きたい、というほどの覚悟は誰しも持ってることだし、そうした仕事の上の心構えが、不知不識にのぞきだすのであろう。

「然し、」と友人は断乎として云う、「そんなことでは、よい作品は書けない。書かないでもよいようなものを書くのは、固より愚劣だが、よいものを書こうとする緊張感は、却って創作の邪魔になりはしないかね。緊張感のために硬ばった作品が余り多いじゃないか。」

さてそれは、分るような分らないような……私は一寸彼の顔を見守ったものだ。

*

「君は象皮病というのを知ってるだろう。」と友人は別なことを云いだした。

その象皮病に、彼のうちの小猫がかかったことがあるというのだ。初めは単純な一寸した皮膚病くらいに思っていると、だんだん広がるに随って、毛がぬけてくる、皮膚に皺がよってくる、そしてその皺んだ禿げた皮膚が、こちこちに固くなって、丁度象の皮膚のようになってしまった。そうなると、もう回復の途はない……。

「作品だってそうだろうじゃないか。」と彼は云うのだ。書こうという気構えからくる一種のポーズ――表面だけの緊張感、それはそのまま作品に感応して、表面がこちこちに固まった、云わば象皮病にかかったような作品になってしまう。