Japanische Klassiker mit Furigana
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きずあとのはいけい
傷痕の背景
豊島 与志雄
Lesen Sie 傷痕の背景 (きずあとのはいけい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.022 Zeichen · 38 Bildschirme
日々の簡単な手記を、杉本に添削して貰った。
その一種の日記……二枚の紙を、小林は杉本の方へ差出した。
「これ、今日んです。」
「ほう、早いね。」
「今日は、つまらない仕事なんで……。」
だが顔付では、別につまらなくもなかったような……その様子を、杉本は、頭から足先まで一度に抱き取る眼付で、じっと見ながら、前日の、赤字で一杯になってる原稿を、返してやった。小林はそれを丁寧に読み分けて、腑に落ちないところは質問した。それを少し写し出してみれば――。
――鉄筋の運搬だ。五メートル物の束を、前方に一人、後方に一人、二人でかつぐのだ。この仕事、力の不公平は、随って労力の不公平は、寸分も許されない。同じ重量が、二人の肩にかかっている。だが、一種の義侠心と名誉心とから、強い方が前方を受持つ。前方には、重量を支える以外に、注意が必要だ。鉄筋の頭を、物にぶっつければ、その反動で、肩にずっしり喰いこんでるやつが、着物越しに、肩当越しに、肉を破る。而も、ぶっつかる危険物は、足場の粗雑な組立のために、随分多い。こういう狭いところを、人間の肩で運ばせるのが、間違ってるんだ。だが、狭いから、機械や馬車で運べないから、人間がやるんだ。