Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きずあとのはいけい
傷痕の背景
豊島 与志雄
Lesen Sie 傷痕の背景 (きずあとのはいけい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.022 Zeichen · 38 Bildschirme
肉の豊かな赤みの濃い頬に、そして円みのある※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)に、黒いこわ髯が、根強く、芽を出しかかっている。鼻が目立たず、口が小さく、強度の近眼鏡の下に、底深く眼が光っている……。その眼が、舗装道路の上に踊ってる衆人の足先を見る。そして彼は考えるのである。――人は次第に、ダンスや靴の影響よりも先んじて、踵より足先に力を入れて歩くようになった。これは生活が苛立ってる証拠だ。もし体重の百パーセントが足先にかかるようになれば、その時は、生活が狂うだろう。――そんなことを、全く没我的に考えながら彼自身は、踵と足先とに体重の五十パーセントずつを托して、のっそりと、漫歩するのだった。太いステッキを引きずって、和服の襟をはだけ加減に、そして時々朝日の煙を吐いて……。何かしら、茫漠としている。
高層建築、自動車の疾駆、燈火、器械音楽、騒音、色彩、蟻の巣をかき廻したような、人、人、人……。
「おい、杉本!」
通りすがりに、声のした方へ振向いて、足を止めて、相手の顔を見て取る――その眼には、人なつこそうな笑いが浮びその顔には、よくいろんな男に逢うものだなという表情が浮ぶのだった。