Japanische Klassiker mit Furigana
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あにたち
兄たち
Lesen Sie 兄たち (あにたち) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.915 Zeichen · 16 Bildschirme
長兄は、それでも、いつも暗い気持のようでした。長兄の望みは、そんなところに無かったのです。長兄の書棚には、ワイルド全集、イプセン全集、それから日本の戯曲家の著書が、いっぱい、つまって在りました。長兄自身も、戯曲を書いて、ときどき弟妹たちを一室に呼び集め、読んで聞かせてくれることがあって、そんな時の長兄の顔は、しんから嬉しそうに見えました。私は幼く、よくわかりませんでしたけれど、長兄の戯曲は、たいてい、宿命の悲しさをテエマにしているような気がいたしました。なかでも、「奪い合い」という長編戯曲に就いては私は、いまでも、その中の人物の表情までも、はっきり思い出すことができるのであります。
長兄が三十歳のとき、私たち一家で、「青んぼ」という可笑しな名前の同人雑誌を発行したことがあります。そのころ美術学校の塑像科に在籍中だった三男が、それを編輯いたしました。
「青んぼ」という名前も、三男がひとりで考案して得意らしく、表紙も、その三男が画いたのですけれども、シュウル式の出鱈目のもので、銀粉をやたらに使用した、わからない絵でありました。長兄は、創刊号に随筆を発表しました。